薄毛(AGA)と遺伝要因との関係性
過去から両親からの遺伝による薄毛リスクは多くの人が知るものでしたが、近年薄毛の原因として遺伝の要素が化(科)学的に解明されつつあり再注目されています。
これまで一般的に認識されている薄毛遺伝の考え方とは異なり、X染色体と優性遺伝という2つの遺伝要素がおおきく関連するため、根本的な遺伝認識に誤解が発生しているのです。
父親の薄毛遺伝リスクが非常に小さい事実
一般的に薄毛の遺伝認識は「自分の父親」を想像して判断する傾向が強くあります。すなわち、父親が薄毛であれば自分も薄毛になるという捉え方です。
しかし、根本のAGA要因に関する遺伝に父方の遺伝子影響力はあまり関与しません。
我々の認識では『薄毛=男性』というイメージが強く、同性であることから頭髪環境に父親の遺伝子が強く反映されるという先入観があるため、このような認識を誰もが持つようになっていますが実際は異なります。
もちろんまったく影響がないわけではありませんが、遺伝には2つの要因が合わさって影響をもたらすために、実質的には遺伝のみがAGAに強く関与するとも言い難い現実があるのです。
薄毛に関与する遺伝子は母方のX染色体
AGA(男性型脱毛症)が母方から遺伝するという学説は、2005年にドイツ・ボン大学のアクセル・M・ヒルマー博士らの研究チームが薄毛に関連する遺伝子を発見したことで明らかになりました。
米専門誌「アメリカン・ジャーナル・オブ・ヒューマン・ジェネティクス(The American Journal of Human Genetics)」7月号の電子版にて発表されたもので、この薄毛遺伝子は母親から受け継ぐX染色体によってAGAの発症を招くというものです。
ヒルマー博士は「薄毛に影響する遺伝子は他にも存在すると思われるので、必ずしも一概にX染色体の影響のみとは言い切れない。」と述べています。
当時の見識では化学的根拠のあるAGA遺伝要因の一部を発見したというものでした。
この発表は随分前のものですが、薄毛の原因が世界的にも化学的にほとんど解明されていなかった時代に、遺伝子の観点から分析された結果はその後のAGA治療の発展に大きく寄与する大発見だったのです。そして今日の薄毛遺伝要因解明のひとつとなる概念なのです。
ヒルマー博士の遺伝子学説について
では、どのように母方の遺伝子が薄毛に関連するのかを確認してみましょう。ヒルマー博士が発表した薄毛遺伝の構造を一言で言えば…
薄毛化する人のX染色体にある男性ホルモン(アンドロゲン)受容体遺伝子が変異する
というものです。簡単に言えば、「薄毛になる人はならない人に対してX染色体にある男性ホルモン受容体に違いがあり、この違いが薄毛化に大きく関連する遺伝子と考えられる」ということになります。
X染色体は必ず母親から受け継ぎます。
性別による染色体の違いは、女性(XX)と男性(XY)となり、ここから男の子が生まれる場合は父親からY染色体を受け継ぎ、母親からX染色体を受け継ぎます。
薄毛の遺伝子であるアンドロゲンレセプター(男性ホルモン受容体)はX染色体の中に含まれるので、薄毛の遺伝子は母親からのみ受け継ぐということになるのです。
AGAの発症メカニズムをおさらい
ここでAGAの発症要因をおさらいしておきますと、DHT(脱毛男性ホルモン)がDHT受容体であるアンドロゲンレセプター(脱毛ホルモン受容体)と結合して強力な発毛抑制を発生させる『TGF-β1』を産出させることが原因です。【※下図参照】
現在AGAの要因が研究によって上図のように判明しており、ヒルマー博士の唱える薄毛化に影響するアンドロゲン認識が一致することから化学的に信頼できるデータとなっているのです。
隔世遺伝による薄毛遺伝子の発生
ここまでで母親から受け継ぐX染色体情報に薄毛化を進める遺伝子が含まれることがわかりました。しかし、AGA患者の母親が薄毛であるケースは基本的にはありません。
これは女性の場合女性ホルモンが薄毛進行を妨げる働きを持つほか、女性体の染色体情報(XX)では両親のX染色体情報を受け継ぐために、片方の親に薄毛遺伝子情報があってももう一方の親が正常であれば打ち消される働きがあり薄毛化が起きにくいのです。
薄毛(AGA)は母方祖父母からの遺伝子情報が隔世遺伝されるのです。
薄毛遺伝子は母型の両親(祖父母)どちらかに保持者が存在する場合に、男性の孫に隔世遺伝される可能性が強いことがわかっています。
図は母型の祖父が薄毛の遺伝子を保持している状態です。(※薄毛遺伝子であるX染色体をわかりやすくするためにX’としています。)
この場合、男性の子はX染色体を母親から受け継ぎY染色体を父親から受け継ぐために薄毛遺伝子は引き継ぎませんが、女性の子は薄毛遺伝子保持者となります。
仮に祖母もX’(薄毛遺伝子保持者)となる場合は、女性の子は(X’X’)という染色体構造になり、FAGA(女性の脱毛症)を引き起こす可能性が上がりますが、現状ではあくまでも可能性の部分と言われ確実ではありません。
すなわち、母型の祖父か祖母のどちらかが薄毛遺伝子保持者である場合、母親に遺伝子情報が継承されます。
では母親が薄毛遺伝子を保持して父親が健常である場合、女性の子は父親から受け継ぐ健常なX染色体によって問題はありません。
しかし、男性の子はX染色体を母親のみから受け継ぎ、Y染色体にはX’化した染色体を補う力がありませんのでAGA発症してしまうのです。
ですが確率的には100%ではありません。
図のようにX染色体は異常化したまま必ず引き継がれるわけではなく、約50%の確率で正常なX染色体としての遺伝がおこなわれることがわかっています。
薄毛遺伝子を引き継ぐ確率は25%
以前から「薄毛は遺伝要因が強い」というように巷では言われていますが、現実的には25%程となっています。
男児と女児が生まれる可能性が約50%であり、さらに発症する男児と保持する女児が生まれる可能性がそのまた50%ということになり、実数は25%程しかないと遺伝子の専門学でも考えられています。
このような事実から兄弟でも兄のみ、あるいは弟のみ薄毛化するという状況が発生するのです。
逆に言えば、薄毛遺伝子を持つ母親の男児全員が薄毛化することの方が非常に珍しいことになり、DNAや遺伝子の観点からすればこの状況は当然のこととも言えるのです。
もうひとつの薄毛遺伝子「優性遺伝」
薄毛の要因となる遺伝要素は母親から継承する「X染色体」のみではないことがAGA発症要因の研究が進む今日に明らかとなってきました。
先程も図で挙げた「AGA発症のメカニズム」を思い出してください。5αリダクターゼという還元酵素がテストステロンという男性ホルモンに結びつきDHTを生成するというものです。
もうひとつの薄毛遺伝子とは5αリダクターゼの活性力です。
そもそも5αリダクターゼは現在AGA治療の中核ともなる薄毛の直接的原因として取り上げられている体内酵素です。5αリダクターゼが多くなり活性化すると薄毛化が進むという観点から、今日のAGA治療薬やAGA医療が高い成果を収めることに成功した要因となっています。
この5αリダクターゼの活性力が遺伝で引き継がれてしまうというものです。
5αリダクターゼの活性力は「優性遺伝」とされており、先程までの染色体のように母親からの遺伝子を引き継ぐものではなく、活性力の高い酵素を持つ親から優先的に受け継ぐことになります。
つまり、両親のどちらかに5αリダクターゼの活性力が強い遺伝子がある場合には自然と子に遺伝されてしまうのです。
遺伝子異常があっても薄毛の改善は可能
ここまでで最も薄毛のリスクが高い人は、薄毛のX染色体と5αリダクターゼの活性力を併せ持っている人ということになり、薄毛化のスイッチが入りやすく、いったん薄毛化がスタートするととんでもない早さで悪化することがわかっています。
しかし、「遺伝子的に薄毛要因が強ければあきらめないと仕方がないのか」というとそういうわけではありません。
まず、薄毛(AGA)化のすべての要因が決して遺伝子のみで決定するわけではなく原因の一部であるという事実、そして現在薄毛で悩み改善を果たしている方も多かれ少なかれ薄毛遺伝子の影響を受けている方であるということです。
薄毛遺伝子は薄毛になりやすいかを決めるに過ぎないのです。
現在は進んだAGA医療やAGA医薬品、そして数多くの化学的な発毛製品が存在しており、非常に大きな薄毛改善効果を示すことが知られていますので諦める必要はありません。
AGAは薄毛遺伝子の影響によって発症する部分も大きいですが、適切な治療によって大幅な改善が可能ですので積極的に治療に望むことが大切だと思います。
最後までお読みいただき有難うございました
AGAアンサーでは一人でも多くの方に本格的な薄毛改善知識が普及することを目指しています。
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